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神戸地方裁判所 昭和62年(わ)811号 判決 1988年3月10日

本籍

兵庫県津名郡淡路町岩屋一二六〇番地の二

住居

同県洲本市本町二丁目二番一一号

会社役員

長野勝

昭和七年二月二日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官柳瀬治夫出席の上審理して、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年及び罰金一二〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金三万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、兵庫県洲本市本町二丁目二番一一号において、ふぐ及びポン酢の卸売業を営んでいるものであるが、自己の所得税を免れようと企て

第一  昭和五九年分の総所得金額は分離課税の短期譲渡所得の損失一六万三二六〇円を含めて四八五四万五六七八円で、これに対する所得税額は二二五三万八三〇〇円であるにもかかわらず、仮名あるいは借名の定期預金などとして所得を秘匿した上、同六〇年三月一五日、同市山手一丁目一番一五号所在の所轄洲本税務署において、同税務署長に対し、同五九年分の所得金額が九七八万七五〇〇円で、これに対する所得税額が一九五万三九〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により同年分の正規の所得税額二二五三万八三〇〇円との差額二〇五八万四四〇〇円を免れ

第二  昭和六〇年分の総所得金額は六六〇〇万五三三三円で、これに対する所得税額は三四〇一万二二〇〇円であるにもかかわらず、前同様の行為により所得を秘匿した上、同六一年三月一三日、前記洲本税務署において、同税務署長に対し、同六〇年分の所得金額が一一〇八万一一八一円で、これに対する所得税額が二三八万八九〇〇円(申告書では誤って二三六万二三〇〇円と記載)である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額三四〇一万二二〇〇円との差額三一六二万三三〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実につき

一  被告人の公判廷の供述

一  被告人の検察官に対する各供述調書及び大蔵事務官に対する各質問てん末書(検甲九八ないし一二五号)

一  大蔵事務官作成の査察官調査書(同六ないし六三号)

一  竹原竹二郎、中山一彦、長野晋、藤森誉、長野孝、和田勝吉、田原重数、一ノ瀬真二郎、長野幸子、長野壽美子、野村征利、重松邦生、林孝一、堀井優、畑敏治、橋本克明、長野ヒサヱ、長野節子、志保浩三、長野豊子、長野きく、上杉美雅、岩切邦夫、反橋晋吾、吉田キヨ子、山下孝司、山西克己、江波敏幸、四反田亨、本田理衛の大蔵事務官に対する各質問てん末書(同六四ないし九七号)

判示第一の事実につき

一  洲本税務署長作成の証明書(同二号)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(同三号)

判示第二の事実につき

一  洲本税務署長作成の証明書(同四号)

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(同五号)

(法令の適用)

被告人の判示第一、第二の所為は、いずれも所得税法二三八条に該当するので、それぞれ所定刑中懲役刑及び罰金刑を併科することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により、重いと認める判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、罰金刑については同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で、被告人を懲役一年及び罰金一二〇〇万円に処し、右罰金を完納することができないときは同法一八条により主文掲記のとおり被告人を労役場に留置することとするが、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 加藤光康)

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